さまざまな要因で変わる魚の相場

魚に限らず、相場というものは時々刻々と変化していくのが当たり前といった印象がありますが、物によっては数多くの要因が絡んで、まったく先の読めない複雑な推移で展開していく相場もあります。魚の場合も、需要と供給バランスのほか、数多くの変動要因があります。最も大きいのが、漁獲量そのものが全くの自然任せという点です。気象条件はもちろん、潮流や季節ごとの魚の動向、魚に脂がのっている時期かどうかなどによっても違ってきます。また、近年は価格の相場以前に、地球温暖化による海水温上昇の影響とみられる魚の生息域の変化や、回遊ルートの変貌などによって、かつては旬の魚が当たり前のように獲れていた海域にほとんど姿を見せないといった事態が、頻繁に起こるようになっています。最近では、名物の「目黒のさんま祭り」のためのサンマの提供を毎年行ってきた岩手県宮古市で、2017年はほとんど獲れなかったことから、北海道根室市で水揚げされたものから7000匹が目黒の祭りのために調達され、送られる事態となりました。地元の漁港で獲れなかったにもかかわらず、目黒で楽しみに待つ人々のためにサンマを調達した宮古の人々の心映えには感じ入るばかりですが、この背景には、美談のみで済ませてはならない重大な問題もはらんでいます。
サンマの日本での漁獲量が減っている原因の一つに、気温が下がって日本の沿岸にサンマが寄って来る前に、公海上で他国の漁船が多く獲ることで、日本に来るサンマの量そのものが減ってしまっていることがあると言われます。アジア圏の他地域の人々が鮮魚の美味を覚えたためという説もありますが、それ以前に、海水温の変化によって、サンマ自体、日本沿岸に近寄らなくなっていることも懸念されています。サンマ漁に関しては、遠洋漁業の体制を取っていなかった日本でも公海に乗り出して漁を行う必要が出て来たと言えますが、不漁の主な原因が海水温の上昇であるならば、ことはサンマのみに留まらず、日本の漁業そのものが今後大きく変わってしまうことが懸念されます。日本周辺海域での海面水温もは、この100年間で日本海では1.7度、四国から東海沖の太平洋沿岸の海域では1.2度という驚異的なスピードで上昇しているという調査結果が出ており、一概の地球温暖化のみが原因とは言い切れない面もありますが、上昇スピードを抑制するためには、やはり早急な温暖化対策が肝要となっています。とは言え、パリ協定から米国が離脱したことで、地球規模での足並みをそろえた対策はより困難になったとされます。

温暖化対策よりも経済の繁栄を選んだ大国を責める声もありますが、世界的に問題になっているのは、むしろ獲り過ぎによる水産資源の危機で、日本人も平静でいられないウナギ絶滅の危機に関しては、今後の流通量の減少や相場の高騰などを案じるよりも、生物の種としてのウナギの行く末を、もっと案じるべき時を迎えています。ウナギが絶滅危惧種となり、それが報じられるや否や多くの人が今のうちとばかりに業務用うなぎ・長焼きの仕入れ・卸売・通販は食らぶ市場へや、ウナギ料理専門店に走り、うな重やうな丼に舌鼓打つという、笑えない事態が実際に持ち上がっています。ウナギが美味し過ぎるのが良くないという声もありますが、パリ協定離脱を決めた大国をなじる前に、世界中の人が、我が身を振り返って環境保護について熟考すべき時が来ています。

かつては庶民の味として親しまれていた魚が、以前より漁獲量が減ったことで価格が高騰、最近では高級魚となっている種類も、ここ数年でいっそう増えてきていると言います。広島など瀬戸内エリアでは、初夏の名物として小イワシの刺身がありますが、「七度洗えば鯛の味」と言われるほどよく洗った刺身は絶品で、庶民の味として親しまれていましたが、近年、イワシそのものも高級魚の仲間入りをしたことで、鯛よりむしろ珍重される事態となっています。北海道の一部地域で水揚げされ、知る人ぞ知る希少な高級魚であるハッカクも、かつては、旬の時期には庶民が日常的に味わう種類だったにもかかわらず、水揚げ量が激減したことで、幻の高級魚とまで言われる事態になっています。

最近全国的に知名度を増した高級魚では、ノドグロがあります。北陸や山陰などではもともとメジャーな高級魚でしたが、有名人がノドグロの美味しさをアピールしたことで、これまで名称自体知らなかった他地域の人々からも熱い注目を浴びるようになりました。名産地に行かなければ鮮魚ならではの味に出会う機会はなかなかありませんが、ノドグロは加工品になっても美味しいものが多いことから、そういった製品をお取り寄せするのにも向いています。全国の卸ショップなどがネット通販ショップを開設するようになって、以前よりも業務用の魚を仕入れることが容易になっており、珍しい種類も賞味したい一般消費者にとっても、幸せな時代となっています。その幸せを守るためにも水産資源の今後については、皆で真剣に考えて行きたいものです。

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