鮮魚を安定して提供できる水槽

日本料理店などでは、新鮮なサカナを提供するために、サカナが獲れたらすぐに氷締めや血抜き、神経締めなどで締めて、スピーディに運んできて、その日のうちに料理して客に提供するなど、新鮮さにこだわった丁寧な扱いがされています。そうして提供された料理は評判となって、新しい客を呼んだり、次の日も食べたいと客から注文が出されたりします。そして、おいしい料理を出してくれる店という評判は、瞬く間に広がっていきます。
ただ、おいしいと評判のサカナが毎日獲れるようなものなら問題はないかもしれませんが、あまり数獲れないようなサカナならば、客の要求に応えようとすれば、それを探して仕入れるのも大変な仕事になってしまいます。それに、海が時化る日もあるので、客の要求通りにはなかなかいきません。そうしたときに役に立つのが、サカナを生きたまま泳がすことのできる生簀や水槽です。生簀や水槽があれば、その中に客の要求するサカナを泳がせておいて、いつでも提供することができます。ブランド魚など多くの人に人気のあるサカナを安定して提供していこうということで、漁港の近くの海に生簀が設置されるケースは少なくありません。この生簀があれば、船が沖で操業できないようなシケの日も、問題なくブランド魚が提供できます。海が穏やかときに大量に獲っておき、この生簀の中に泳がせておけばいいからです。これで、いつでも客の注文にも応えることができるのです。それに、こうしたものがあると、何よりも漁業関係者から市場関係、仕入先、料理店、そして客の間に信頼関係が作られていくので、たいへん意義のあることでもあります。それぞれの間に相互の信頼関係が築かれ、素晴らしいネットワークができあがるのです。私たちがいつでもおいしい魚が食べられるのは、「鮮魚の仕入れ・卸売・通販は食らぶ市場へ」だけでなく、こうした鮮魚にこだわりを持った現場の人たちの努力があるからなのです。
新鮮なサカナを安定して提供するためには、市場の中にも生簀や水槽が設置されたりします。それに、街のさかな屋さんなどでは大きな樽にホースで水を流し入れて、樽の中に活かしてあることもあります。このようなケースも、簡易生簀と呼べるでしょう。そして、料理店の中にも水槽が置かれて、新鮮なサカナが安定して供給できるような努力がなされているのです。客は、その中のサカナを見ることで食指を動かされることもあります。店の中に水槽を設置して、その中で鮮魚を活かしておくには、酸素を送り入れたり水槽の掃除を欠かさないなど、やはりサカナへの配慮が欠かせません。