幻の魚と呼ばれるスマについて

スマはサバ科に属した魚で、最大全長1メートル前後、体重10キロ程度まで成長する魚です。背中にサバに似た縞模様があり、「縞」が訛って「スマ」と呼ばれるようになったのが名前の由来と言われています。インド太平洋の熱帯と亜熱帯域に生息していますが、群れを作らない性質があるため非常に漁獲量が少なく、和歌山県や四国沖の定置網や延縄でたまに捕獲されることがあります。胸びれと腹びれの間に黒い斑点が数個あるのが最大の特徴で、形が良く似ているマグロやサバなどと容易に見分けることができますが、この斑点は死ぬと消えてしまうのも特徴のひとつです。クロマグロに近い種であるため味がとても良く、市場では1キロあたり2,000円前後で取引されるため「幻の高級魚」と呼ばれています。「知っていましたか?まぐろは5種類あります。正しく知って仕入れに生かそう!」も参考になりますね。

スマの主な調理法は、お刺身、たたき、煮物、焼き物と何でもおいしいのが特徴ですが、天然ものは締まってもっちりとした肉質と適度な脂がお刺身や寿しネタに最適です。頭やひれなどのアラからも良い出汁が出るので、みそ汁やさっぱりしたうしお汁などにも利用されています。食味はカツオとマグロの中間的な味と評されていますが、漁獲量が少ないため天然物が市場に出回ることはほとんどなく、捕獲した漁師や地元の一部で消費されています。

そんなスマですが、世界的な需要増加により乱獲されて漁獲量が著しく減少しているクロマグロの代用魚として注目されており、2012年から和歌山県の水産試験場で、2013年からは愛媛県と愛媛大学の共同研究で養殖が始められました。近畿大学でクロマグロの養殖も成功していますが、体長が2メートル前後と長く、高速で遊泳しているので養殖のために大規模な設備が必要ですが、スマは小型なのでブリなどにつかわれていた養殖施設をそのまま流用できることができるのがポイントです。2016年には和歌山県、愛媛県の両県とも完全養殖されたスマを出荷したことが話題になりましたが、その食味は天然物と異なり、脂がのった全身は背中側がマグロの中トロ、腹側は大トロのようだと絶賛されました。しかし、全国にはまだ流通して無く、地元愛媛県と和歌山県の一部のお店で提供している他、東京や大阪の有名デパートで販売されているようです。初出荷の価格は1キロあたり3、000円程度と高級クロマグロに匹敵する価格でしたが、まだ養殖体制や流通経路などが完全に確立されていないので仕方がないと言う評価でしたが、味は非常に良く、今後の展開が期待されています。