魚の持つ不飽和脂肪酸という成分

魚の持つDHA(ドコサヘキサエン酸)という成分は多くの人が知るようになりました。頭の働きをよくするということで、痴呆症の予防などにも効果があるものとして、今ではいろいろな食品に添加されるようになっています。また、同じように、EPA(エイコサペンタエン酸)という血液をサラサラにしてくれる働きのある成分も多く含まれているということもよく知られるようになりました。このDHAとEPAという成分は、不飽和脂肪酸と呼ばれる低温でも固まりにくい良質の脂肪酸で、昔の日本人は魚をよく食べていたことから、これらを普段の食事の中で豊富に摂り入れていました。ところが、戦後になって、体格の向上を狙って肉や乳製品を多く摂り入れる欧米型の食事が奨励されるようになると、DHAやEPAを摂る機会は減っていったのです。DHAが豊富なサバを仕入れよう!調理法で七変化も参考になります。
欧米型の食事が普及していくと、これと並行して、心筋梗塞、動脈硬化といった生活習慣病という病気が日本人の中に蔓延していきました。じつは、欧米型の食事でよく摂取されるバターや肉などが持つ飽和脂肪酸には、血栓ができやすくする働きがあって、高血圧症の原因をつくったりします。ただ、これらの病気は食習慣だけによるものではなく仕事のストレスなども原因するので、現代人の多くがどのようにしたら防げるのか悩まされています。ある意味、現代病といえるものです。
そんなとき、魚をよく食しているグリーンランドのエスキモーに心筋梗塞や動脈硬化といった病気が少ないことに目をつけたデンマークの学者が、現地へ調査に出かけ、その理由として魚に多く含まれる成分のEPAという不飽和脂肪酸が関わっていることを研究結果として発表したのです。最初は、摂取する脂肪の量が少ないのではと考えたのですが、脂肪の量は他のヨーロッパ人と変わらず、その質のほうに問題の本質があることに気づいて調査研究した結果、魚が多く持っているEPAという不飽和脂肪酸にそのカギがあると発見したのです。この研究結果は、日本でも注目を集め、改めて魚を中心にした日本食が注目を浴びはじめました。「サカナを食べると頭がよくなる」という歌詞で知られる「おさかな天国」という歌が流行り、紅白歌合戦でも歌われました。また、魚に興味を持ってほしいとして活動しているさかなクンのメディアでの活躍はよく知られるところです。最近では、一般の人もサカナについてかなり詳しくなってきたようです。そして、今では寿司をはじめ魚料理は健康食として世界でも注目を浴びはじめています。